もっと楽しく元気になる食べものとかの話

人生がもっと楽になる。身体を作る食べ物のこと、栄養のこと、早く知りたかったこと、シェアしていきます。

炎症を抑える油脂の摂り方

必須脂肪酸ってなに?

 人の身体には脂肪が必須です。身体を作っている一つ一つの細胞の膜も脂肪を材料に作られます。中でも、体内で合成できない、つまり必ず絶対食べないとダメですよという種類の脂肪酸を「必須脂肪酸」と言い、その代表がαリノレン酸(ω6)と、リノール酸(ω3)です。

 そして、このω6系と呼ばれる脂肪酸と、ω3系と呼ばれる脂肪酸割合がとても重要です。ごくごく簡単に言うと、ω6は炎症を起こす物質の上流にあるもの、ω3は炎症を収束させる物質の上流にあるものだからです。

炎症を起こすことも収束させることも身体にとっては必要です。適度な炎症は、身体を本来の状態に戻すために起こっているからです。でも、起こす方ばかりが強いと、炎症が終わらずに身体を傷つけ、炎症体質になってしまいます。

何かと皮膚がトラブルを起こす人は、この辺を改善してみると良いかもしれません。

 

旧石器時代には、人が摂取するω6:ω3は1:1くらいだったそうですが、現代の西洋食では、10~25:1なのだそうです。無意識のうちにです。

ω6系脂肪酸から作られるアラキドン酸と、ω3系脂肪酸から作られるEPAの血中の比は3:1くらいが良好と言われているので、かなり意識しないとω6過多になってしまいます。

 

どんな油に含まれるの?

 ω6系脂肪酸を多く含む油は大豆油、コーン油、ごま油、紅花油、ヒマワリ油など。

ω3系脂肪酸を多く含む油はえごま油、亜麻仁油、しその実油、魚油など。

揚げ物や外食が好きであれば、圧倒的にω6が多くなってしまうのは、避けられませんね。

 

日本で多く流通している油の一つがキャノーラオイルです。とても安価ですし、揚げ物をするときにはほとんどの人がこちらを使っているのではないでしょうか。

キャノーラオイルの脂肪酸組成は、一番多いのはω9系のオレイン酸なので、まあまあいいんじゃないか?と思いますよね。

ですが、残念ながら安価なキャノーラオイルは遺伝子組み換えの菜種が使われており、微量有害物質が多いと言われています。

 

避けたい油その1「トランス脂肪酸

もともと常温で液体の不飽和脂肪酸からなるオイルに水素を添加して、常温で固体または半固体となるような加工をした油、つまりマーガリンやショートニングのことです。

これらが全てトランス脂肪酸ということではありません。

脂肪酸の鎖のように繋がっている炭素はそれぞれ4本の手を持っています。4本のうち2本は、炭素同士で結合して鎖状になっています。残りの2本が水素と結合して埋まっているのが飽和脂肪酸です。水素がくっついていないと、余った手も炭素同士の結合に使われ、つまり2重結合になっています。これが不飽和脂肪酸です。2重結合が多いと、流動性が高く、サラサラしています。

この不飽和脂肪酸の手が余っているところに水素をくっつけると、流動性が少なくなり硬化するわけですが、完全に飽和脂肪酸になった場合にはトランス脂肪酸はできませんが、物性を調節するために部分的に水素添加した場合には、一部が構造的にもともと自然界にはない「トランス型」という形になってしまうのです。自然界にも僅かにはトランス型が存在するそうですが、本来は「シス型」です。

 

このトランス脂肪酸は二重結合なのに流動性に乏しく、細胞膜の構成成分となった時には膜が硬くなるので、脳神経細胞の機能低下によって、アルツハイマー病のリスクが高まったり、赤血球膜の流動性が低下して、冠動脈疾患のリスクが高まるという報告がされています。

最近は、トランス脂肪酸がごくわずかしかできないような水素添加の技術があると聞きましたが、その場合は必然的に飽和脂肪酸の割合が増えるようです。

以前パン屋をしていた時に、問屋さんに紹介された業務用の「トランスフリーショートニング」の原材料はパームオイルでした。

パームオイルも世界的にとてもよく使われている「植物油脂」で、スナック菓子の揚げ油などにも使われていますが、いろいろと問題があるようです。

どのみちマーガリンやショートニングを含む食べ物は嗜好品として、食べ過ぎない方が良さそうです。

ただ、別の記事でも書きましたが、私の両親はもう50年以上、毎朝マーガリンを塗ったトーストを食べており、80歳を越えましたが全く元気です。全体的な食事の内容や、生活習慣が重要で、できればトランス脂肪酸は控えめにするという感じが良いのかなと思います。

残念ながら、全て避けなければ!と思うと、かなり窮屈な食生活になりそうです。

 

日本以外の諸外国は、トランス脂肪酸を禁止する方向が主流のようですが、代わりに何を使っているのか?とても疑問です。
今さら、これまでマーガリンやショートニングを使っていたところを全てバターにするのは無理でしょうし。

先日LAに住む兄に、食べているマーガリンの原材料を見せてもらいました。

「水、大豆油、パーム油、パーム核油、塩、レシチン、天然香料、酢、ビタミンA、パルミチン酸、βーカロチン」でした。

どのみち、嗜好品としてほどほどにした方が良さそうです。

避けたい油その2「酸化した油」

常温で液体の油、つまり不飽和脂肪酸からなる油は身体に良いというイメージがありますが、不飽和=酸化しやすいということでもあり、高温にすることや、温かいところ、直射日光に当たるところに放置することで酸化します。

多価不飽和脂肪酸由来の過酸化脂質が分解してできるアルデヒドは、細胞毒性があります。

何度も繰り返し使っているような、質の悪い油を使った揚げ物を食べると胸やけしたりしませんか?

しない人は胃腸が丈夫なのかもしれませんが、私はかなり引きずります。

アトピー体質の長女が小さい頃、某テーマパークでランチにフライセットを食べたのですが、食後、ばーっといつもの場所に湿疹が出て痒みが出たことがありました。

やはり弱いところがある人はすぐに反応が出ますね。

 

油を使った高温調理は、あまり頻繁には食べない方が身体には優しいです。

炒め物には一価不飽和脂肪酸オレイン酸の多いオリーブ油や、圧搾の米油、ココナツオイルがお薦めです。

もちろん油の保管方法も重要ですね。

 

結局どうしたらいいの?

正直、油はこだわるときりがありません。こだわるほどにお値段も非現実的なものになっていきます。

そもそも、油は植物にとって、とても大切な種やら実を絞って、ものによってはさらに精製して作られたもので、そういう意味では食品というよりはサプリメントに近いという考えもあります。

質の良いものを大切に使う。というスタンスを忘れてはいけないのかなと思います。

良い悪いを理解したうえで食の楽しさと、健康と予算とバランスを取り、自分なりの選択をしていくのが良いと思います。

 

今のところの我が家の選択は、

  • お肉とお魚(ただし小さいサイズのモノ)を代りばんこに食べる。
  • 揚げ物は年に数回にとどめる。
  • 炒め物は、オリーブオイル、ココナツオイル(無臭)、ごま油のどれかを料理に合わせて使う。
  • アマニ油または、えごま油を冷蔵庫に常備して、生でちょいちょい使う。

 

といった感じです。油に気を付けたら明らかに体調が良いのが分かる。というものでもないので、ついつい安いものを買いたくなってしまいますが、質の良いオイルは美味しいですよね。何事もほどほどに。気をつけていきたいです。