バランスの良い食事?
「バランスの良い食事」ってものすごくまるっとしていて曖昧ですよね。
説明するのがめんどくさいから使っているのか?と思うことすらあります。
先日、日本リポニュートリション協会主催の、「血管と脂質」という面白い講演を聴きました。本題の内容は、コレステロールが原因の粥状動脈硬化に対しても、魚油は抑制的に働くよ。ということと、メインは腹部大動脈瘤が起こる機序を解明した研究結果と、どうやらそれに対しても、お魚を食べることはリスクを下げそうだよ。その効果をより得るためには抗酸化物質が大事だよ。というお話だったのですが。
最後の方におまけ的にお話してくださった「食のバランス」の話が面白かったです。
2009年にサイエンスという科学雑誌に、平均寿命が近いアカゲザルに、カロリー制限ありの食事と、制限なしの食事を与えたら、カロリー制限した方は若さを保ち、毛並みも良く、長生きをしました。一方カロリー制限なしに食事を与えた方は、毛もボロボロ、よぼよぼで先に死んでしまいました。という研究が投稿されました。
私も当時何かでそのサルの写真を見て結構衝撃を受けたことを覚えています。
かと言って、それから腹7分目を目指しています。なんてことはなく、
「は~お腹いっぱい食べちゃダメなんだ~」とがっかりしたのを覚えているだけです。
ところが、この話には続きがあったのです!
それは今回初めて知りました。
その研究報告の4年後、ネイチャーという科学雑誌に「カロリー制限してもしなくても、寿命に差がないよ」という同じくアカゲザルを使った研究報告があったそうなのです。
そちらのカロリー制限したアカゲザルはちょっと痩せていて、どちらかというとカロリー制限なしのサルよりも元気がなさそうでした。
全然逆じゃん!なのですが、実はそうではないのです。
先の「カロリー制限によって長生きをしました。」という実験の制限なしの食事と、その後の「カロリー制限してもしなくても寿命は同じでしたよ。」の実験の食事はその内容が違ったのです。
つまり、先の実験の食事は、砂糖が多く、抗酸化物質が少ない食事だったそうなのです。
その食事を無制限に食べたら老けるのが早く、寿命が短かったよ。ということだったのです。つまりは、カロリーだけではなく、「バランス」が大事だったということでした。
先生は、実験や研究というのは、「何と比較するのか?」によって解釈や結果が変わってしまうことはよくあることで、「何と比較してそうなのか?」がとても大事です。
と、おっしゃっていました。
5大栄養素を過不足なく摂ること。それがバランスということなのでしょうが、食べたいもの、食べたくないもの、好きなもの嫌いなもの、食べると幸せを感じるもの。誰と食べるのか、いつ食べるのか?
食べるものを選べること自体、贅沢なことだと思いますが、全部をひっくるめて「バランス」ですね。
ますます「まるっ」としてしまいました。